透明性ガイドライン策定にあたって

再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)
会員企業の使命と役割

FIRMは、「再生医療の普及を通じて人々の健やかな未来に貢献する」ことを理念としています。その理念の実現にむけ、FIRMに加盟する会員企業(以下「会員企業」という。)は、再生医療(遺伝子治療を含む)の基礎研究、臨床開発、製造販売後の情報提供・収集活動、安全対策、製造、供給等、多様な活動を行い、国民の健康・福祉に貢献しています。これらの活動を行うにあたっては、大学などの研究機関・医療機関等と連携協力が不可欠です。
会員企業は、関連法規の遵守、社会の規範となることが求められるとともに、医療の一端を担う関連企業として、高度の倫理性に根ざした事業活動をしなければなりません。また、会員企業は、生命関連産業として大学などの研究機関・医療機関等と関わり合いを持っていることを深く自覚し、国民の期待と信頼に応えて医療の向上に貢献し、再生医療産業の発展に寄与し、社会の信頼を得るよう努めなければなりません。

会員企業と大学等研究機関・医療機関等との連携

近年再生医療の研究開発・製品化の著しい進展は、今まで治療が困難であった疾病の治療に役立っています。
さらに、新しい再生医療による医療のニーズに応えるには、企業独自の研究活動だけではなく、大学等研究機関・医療機関等との連携による総合的な再生医療の進展が不可欠です。
この産学連携によって、初めて有効で安全な新たな再生医療等製品が生み出されたり、臨床研究等により再生医療の進展に貢献したりすることができます。
この産学連携において、再生医療の基礎研究から製品供給後にいたるまでのライフサイクルにわたって、再生医療等製品の開発企業や特定細胞加工物の提供企業のみならず、再生医療に関わる会員企業は、大学などの研究機関、医療機関及び医療関係者等との間で、以下のような連携活動を行うことがあります。

  • 共同などでの研究・開発・調査等
  • 学術研究に対する助成や学会等の会合開催に対する支援等
  • 自社製品や再生医療分野に関する情報提供、情報収集、及びそれらに関する助言等

透明性ガイドラインの必要性

医学の研究、開発、実用化、及び適正使用の普及等に不可欠な産学連携活動は医療機関・医療関係者等との契約等に基づき実施されています。
その際に対価として金銭の支払いが発生する活動もあり、企業は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)及び臨床研究法をはじめとする関連法規の遵守はもちろん、コンプライアンスポリシー等のFIRM独自ルールに基づき、コンプライアンスを遵守した活動を行ってきました。
これらの産学連携活動が活発になるほど、医療機関・医療関係者等が特定の企業・製品・技術・サービスに深く関与する機会が生じ、公正な判断に何らかの影響を及ぼしているという懸念をもたれる可能性が否定できません。さらに、欧米などの海外や国内において透明性を高めることが求められてきていることを背景として、医学会等は産学連携における利益相反に関する指針を定めています。また、日本製薬工業協会及び日本医療機器産業連合会は、それぞれ「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」及び「医療機器業界における医療機関等との透明性ガイドライン」を公表しています。FIRMにおいても、産学連携活動における透明性の確保が重要であることをふまえて、本ガイドラインを策定しました。